介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の内容とは?
高齢化社会において、介護職の需要が高まっています。
介護職として働くには、どのような知識や技術が必要なのでしょうか?
今回は、介護職の入り口ともいえる「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」の学習内容について解説します。
資格取得の流れや学習方法、試験の難易度についても紹介していますので、介護職に興味がある方は最後までお付き合いください。
どのようにスクールを選んでいいのか分からない方は「スクール選びのポイントを徹底解説!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)とは?
介護職員初任者研修は、介護職に求められる基本的な知識や技術を習得する研修です。
介護職においての入門資格であり、取得すると身体介護が可能になります。
必須資格ではありませんが、介護の知識や技術を証明することで、未経験でも就職や転職で 有利 に働きます。
介護職員初任者研修は、家族の介護がきっかけで勉強を始める人も多いです。
高齢者や障がい者の生活や自立をサポートし、介護者の状況に応じた対応が可能になります。
他にも介護業界で役立つ資格があり 「介護業界で活躍するための資格5選!取得するメリット・スキルアップの方法を詳しく解説」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。
ホームヘルパー2級との違いは?
ホームヘルパー2級は、訪問介護に必要なスキルを習得する研修でした。
介護職員初任者研修へ移行してからは、すべての介護事業所で働く介護職に向けた内容に変更されています。
ホームヘルパー2級との具体的な違いは、下記の4点です。
- 修了試験の実施
- 30時間の実習の廃止
- 実技演習(スクーリング)の増加
- 認知症のケア科目の追加 実習が廃止され、スクーリング、認知症ケア科目、修了試験が加わりました。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の学習内容と受講時間
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の学習内容は、下記の10項目です。
研修科目 | 受講時間 | |
---|---|---|
1.職務の理解 | 6時間 | |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 | |
3.介護の基本 | 6時間 | |
4.介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9時間 | |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 | |
6.老化の理解 | 6時間 | |
7.認知症の理解 | 6時間 | |
8.障害の理解 | 3時間 | |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 | |
10.振り返り | 4時間 |
受講時間は自宅学習40.5時間と、スクーリング80.5時間の計130時間になります。
学習頻度にもよりますが、資格取得までに1ヵ月~4ヵ月がかかる見込みです。
1.職務の理解
介護におけるサービスの理解(介護保険や介護保険外サービスについてなど)や介護職の仕事の内容など、介護職に関する理解を深めます。
2.介護における尊厳の保持・自立支援
介護の当事者であっても、個人の基本的人権は守らなければなりません。
人権や尊厳の視点から、介護で求められることや自立に向けた支援を学びます。
講義では、自立に向けた支援などのグループディスカッションを行う場合もあります。
3.介護の基本
要介護者が増えていく中で求められていることや、現在の介護環境の状況を学びます。
さらに介護職の役割や安全の確保、リスクマネジメントについても理解を深められるでしょう。
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携
介護保険制度の仕組みから、介護・福祉サービス、医療との連携、リハビリテーションなどの理解を深めます。
基礎知識や、医療における介護と看護の連携の重要性を認識しておくと、スムーズに仕事ができるでしょう。
5.介護におけるコミュニケーション技術
介護におけるコミュニケーションの意義や目的などを学び、相手への情報伝達の方法を学習します。
介護においてのコミュニケーションは言葉だけではなく、身振り手振りや表情で相手に伝えることも重要です。
要介護者のご家族とのコミュニケーションも、介護をする上で大事になってくるでしょう。
6.老化の理解
「老化について」「心身機能の変化」「高齢者と健康」を中心に理解を深めます。
骨折や筋力低下、うつ症状などが日常生活に与える影響も習得します。
高齢に伴い咀嚼機能も低下するため、介護者の小さな変化も注意深く見守る必要があることを学習します。
7.認知症の理解
認知症の基礎や認知症を取り巻く状況、認知症に伴うこころとからだの変化や対応について学びます。
認知症の概念や病態、定義についても理解し、認知症の利用者の心理や行動について理解を深めます。
認知症の家族との情報共有やサポート、コミュニケーションも欠かせません。
8.障害の理解
障害における医学的側面、生活障害、心理や行動の特徴、かかわり支援などの基礎的知識を学びます。
家族が受けるストレスなどの心理面や、かかわり支援についての理解が必要です。
障害を理解して家族への支援を行うことで、家族の介護負担も軽減するでしょう。
9.こころとからだのしくみと生活支援技術
全カリキュラム130時間の中で75時間分を占めており、介護職員初任者研修で1番学習内容の多い項目です。
介護の基本的な知識、生活支援技術の講義や実技を行います。
実技では車いすの移動や移乗の介助、入浴演習、排泄ケアなどを学習して、介護の技術向上を目指します。
10.振り返り
研修を通じて学んだことや、今後も継続して学ぶことなどを再確認します。
覚えることが豊富で重要な項目が多いですが、介助をするためには必要不可欠であり、今後も継続して勉強していくことが大切です。
すべての研修が終わると、最後に修了試験があります。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の受講から修了までの流れ
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の受講から修了までの流れは、以下のステップです。
- STEP1.自宅学習
- STEP2.スクーリング学習
- STEP3.修了試験(筆記試験)
- STEP4.修了認定・証明書の発行
各ステップの流れを詳しく解説します。
STEP1.自宅学習
申し込みをした後に送られてくるテキストを使い、自宅で学習を進めます。
テキストで学びレポートを提出、添削を受けて知識を定着させます。
STEP2.スクーリング学習
介護職員初任者研修のカリキュラムは 「講義」と「演習」 で構成されています。
全項目130時間のうち、自宅学習の上限は40.5時間で、 併用してスクーリング学習も受講しなければなりません。
実際の介護業務は実技が重要になるため、スクーリング学習は15日間におよび、1回につき6時間かかります。
通うのに負担がかかるので、なるべく自宅に近くの施設を選ぶと良いでしょう。
STEP3.修了試験(筆記試験)
受講の最終日に、1時間の筆記による修了試験があります。
学習内容の確認のために行われており、授業を全部受講していれば合格率は高いでしょう。
不合格となっても再試験できるスクールが多いので、安心してチャレンジできます。
STEP4.修了認定・証明書の発行
すべての過程を修了すると、2週間~1ヵ月程度で修了証明書が届きます。
修了証明書は日本全国の介護事業所で適用されるので、 全国どこにいっても就職や転職に有効です。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格を取得する方法
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の 資格を取得には、3つの方法があります。
通学
通学講座のみで取得する方法です。 約90時間のスクリーニングがあるため、通信講座も通学講座もあまり変わりません。
通学のメリットとしては、わからないことを講師に質問して すぐに解決できること、仲間と励ましあいながら勉強できる点 です。 通学講座は決められた日数や時間、教室に通う必要があるので、無理なく受講できるコースを選びましょう。
最短で取得したい方には、1か月の短期集中コースもあります。
社会人の場合は3~4ヵ月を目安に、夜間コースや土日コースを選ぶと無理なく通えるでしょう。
通学+通信
通学と通信を併用して取得する方法です。 通信教育で自宅学習しながら、約90時間のスクリーニングは通学で行います。 自宅学習はマイペースで行えるため、会社勤めや子育て中の方に人気です。
わからないことについてのサポートは講座によって異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
通学のみと比べて取得までに時間がかかることが多く、3~4ヵ月程度かかる場合もあります。
ハローワークの職業訓練
ハローワークの職業訓練で、資格を取得する方法です。 民間の通学や通信スクールでは、5万~10万円の受講料がかかります。
一方、ハローワークでは条件を満たせば受講料は無料で、 給付金や手当 がもらえるケースもあります。
しかし、ハローワークの職業訓練は資格取得までに最短3ヵ月はかかり、倍率も高く、平日の日中しか受講できません。
給付金の申請には保険証や領収書、教育訓練首領証明書などの提出が必要で、時間と手間がかかります。
時間に余裕がない人は、よく考えた上で受講するようにしましょう。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の試験の難易度は?
介護職員初任者研修は130時間のカリキュラムを修了後、筆記試験に合格すれば資格が得られます。
国家試験ではなく、講座の実施機関が試験を行い認定するシステムです。
実施機関によって試験問題は異なり、合格率は公表されていません。
しかし、介護の基礎レベルの資格のため、 一般的には難易度はかなり低いといわれています。
講義をすべて受講していれば、合格できるレベルと考えて大丈夫でしょう。
修了試験に落ちてしまっても、通常は再試験が受けられるので安心です。
スクールによって再試験にお金がかかる場合があるので、よく確認するようにしましょう。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を取得して介護職デビューしよう!
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の内容や資格取得の流れ、試験の難易度について紹介しました。
資格を取得すると、安全・安心な介護を行えるだけでなく、給料アップ・キャリアアップにつながります。
初心者の方は、130時間のカリキュラムは大変に感じるかもしれません。
継続するためにも期間にゆとりを持って、自分に合ったコースを選ぶようにしましょう。
介護職の需要は右肩上がりで、「週に2〜3日」「1日3時間」など、いろんな働き方が用意されています。
社会経験がない方でも間口が広く、定年後も長く働くことが可能です。
この機会に介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を取得して、介護職デビューを果たしてみませんか。
他にも役立つ資格が多くあり「2023年!本当に役に立つ資格はこの10個!!」から詳しく見ることができます。参考にしてみてくださいね。